コラム
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2026.04.07

居住用家屋の3000万円控除について

はじめに

国土交通省が発表しているデータによると戸建・マンション共に取引価格はここ10年上昇傾向にあります。

このような状況下でマイホームを売却した際、多くの場合で売却益(譲渡所得)が発生します。

この譲渡所得には通常、所得税と住民税が課税されますが、一定の要件を満たせば最高3,000万円まで控除できる特例があります。

これが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。

本コラムでは、この制度の概要、適用要件、注意点などについて詳しく解説いたします。

  1. 制度の概要

 1-1. 基本的な仕組み

居住用家屋の3,000万円控除とは、マイホーム(居住用財産)を売却した際に生じた譲渡所得から、最高3,000万円まで控除できる制度です。

この特例を適用することで、多くのケースで譲渡所得税の負担を大幅に軽減、または完全に免除することができます。

計算式

課税譲渡所得金額 = 譲渡所得 – 3,000万円(特別控除)

譲渡所得が3,000万円以下であれば、この特例により税金はゼロとなります。

 1-2. 軽減税率との併用

所有期間が10年を超える居住用財産を売却した場合、3,000万円控除を適用した後の譲渡所得に対して、さらに軽減税率を適用することも可能です。

この併用により、税負担をより一層軽減できます。

  1. 適用要件

この特例を受けるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

 2-1. 基本要件

  1. 自己の居住用財産であること

   – 現に自分が住んでいる家屋、またはその家屋とともに譲渡する敷地

   – 以前に住んでいた家屋や敷地の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること

  1. 売却先の制限

   – 配偶者や直系血族、生計を一にする親族など特別な関係がある者への譲渡でないこと

   – 同族会社など特殊関係者への譲渡でないこと

  1. 前年・前々年の適用状況

   – 前年または前々年にこの特例を受けていないこと

   – 前年または前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと

 2-2. 家屋に関する要件

– 売却する家屋が居住用であること(店舗併用住宅の場合は居住部分のみが対象)

– 取り壊した家屋の敷地を譲渡する場合は、一定の要件を満たすこと

  – 家屋を取り壊した日から1年以内に敷地の譲渡契約を締結すること

  – 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること

  – 取り壊し後、譲渡契約締結日まで貸付けその他の用に供していないこと

  1. 特殊なケース

3-1. 別荘や仮住まいの場合

以下のような物件は、この特例の対象となりません。

– 別荘などの趣味・娯楽・保養のための家屋

– 一時的な仮住まいとして使用した家屋

– 仮住まいや一時的な目的で入居したと認められる家屋

 3-2. 相続した家屋の場合

相続により取得した家屋であっても、相続人が実際に居住していた場合は、この特例の適用を受けることができます。

ただし、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除(空き家特例)との選択適用となりますので、どちらが有利かを検討する必要があります。

 3-3. 共有物件の場合

夫婦や親子で共有している居住用財産を売却した場合、共有者それぞれが3,000万円の特別控除を受けることができます。

例えば、夫婦で2分の1ずつ共有している場合、合計で最大6,000万円の控除が可能となります。

  1. 適用を受けるための手続き

 4-1. 確定申告が必須

この特例の適用を受けるためには、譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までの間に、必ず確定申告を行う必要があります。

たとえ計算の結果、税額がゼロになる場合でも申告は必須です。

 4-2. 必要書類

確定申告の際には、以下の書類が必要となります。

– 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

– 売買契約書の写し

– 登記事項証明書

– 戸籍の附票の写し(譲渡契約締結日前日において住民票に記載されていた住所と売却した財産の所在地が異なる場合)

  1. 注意点とよくある誤解

 5-1. 住宅ローン控除との併用不可

この3,000万円控除を適用した場合、同じ年およびその前後2年間(計5年間)は、新たに購入した住宅について住宅ローン控除を受けることができません。

どちらが有利かは、個々の状況により異なりますので、慎重な判断が必要です。

 5-2. 適用回数の制限

この特例は「3年に1回」という制限があります。

前年または前々年にこの特例を受けている場合は、再度の適用を受けることができません。

 5-3. 取得費が不明な場合

古い物件で取得費が分からない場合、売却価格の5%を概算取得費として計算することができます。

ただし、この場合、譲渡所得が大きくなる傾向にありますので、可能な限り実額での取得費を証明できる書類を探すことをお勧めします。

 5-4. 譲渡費用として認められるもの

以下のような費用は譲渡費用として譲渡所得から差し引くことができます。

– 仲介手数料

– 売買契約書の印紙代

– 売却のために支払った立退料

  1. 実務上のポイント

6-1. 事前シミュレーションの重要性

売却を検討する際は、事前に税額のシミュレーションを行うことが重要です。

3,000万円控除を適用した場合の税額、住宅ローン控除との比較、将来の買い替え計画なども含めて総合的に判断する必要があります。

6-2. 適用要件の確認時期

売却を決定する前に、この特例の適用要件を満たしているかを確認することが大切です。特に、前年・前々年の特例適用状況や、売却先との関係性などは事前に確認しておきましょう。

6-3. 書類の保管

将来の確定申告に備えて、購入時の売買契約書、領収書、改修工事の契約書など、取得費を証明する書類は大切に保管してください。

 まとめ

居住用家屋の3,000万円控除は、マイホームを売却する際の税負担を大幅に軽減できる非常に有効な制度です。

しかし、適用要件は細かく定められており、他の特例との併用制限もあるため、慎重な判断が必要です。

特に、住宅ローン控除との選択や、買い替えのタイミング、共有物件の取り扱いなど、個別の状況に応じた最適な判断が求められます。

マイホームの売却を検討される際は、早めに税理士にご相談いただくことで、より有利な税務対策を講じることができます。

 

 

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