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2026.05.19

相続税の基礎控除額以下でも安心できない?知っておくべき重要な手続きと注意点

 はじめに

「うちは財産がそれほどないから、相続税は関係ない」と思っている方は多いのではないでしょうか。

確かに、相続税には基礎控除という非課税枠があり、財産がその範囲内に収まる場合には相続税を納める必要はありません。

しかし、「相続税がかからない=何もしなくていい」というわけではありません。

相続税の申告が不要であっても、さまざまな手続きや確認事項が発生します。

今回は、相続税の基礎控除額以下の相続財産の場合に必要となる事項について、詳しく解説いたします。

  1. 相続税の基礎控除とは

まず、相続税の基礎控除について確認しておきましょう。

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円」となります。

相続財産の合計額がこの金額以下であれば、相続税の申告・納税は不要です。

国税庁のデータによると、亡くなった方のうち相続税の課税対象となる割合は約9〜10%程度とされており、残りの約90%の方は相続税の申告が不要ということになります。

つまり、多くの方にとって相続税は直接関係のない税金と言えますが、だからといって相続に関する手続きが一切不要というわけではありません。

  1. 相続税申告が不要でも必要な主な手続き

① 相続人の確定と遺産分割協議

相続が発生したら、まず誰が相続人になるのかを確定させる必要があります。

そのためには、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて収集し、法定相続人を正確に把握しなければなりません。

相続人が確定したら、誰がどの財産を引き継ぐかについて相続人全員で話し合いを行います。

これを「遺産分割協議」といい、相続人全員の合意が必要です。

合意に至った場合は「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・実印を押印します。

この書類は、後述する各種手続きの際に必要となる重要な書類です。

なお、遺言書が存在する場合には、原則として遺言書の内容に従って財産を分配します。

自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での「検認手続き」が必要となる点も覚えておきましょう(法務局に保管されている自筆証書遺言は検認不要)。

② 不動産の相続登記(名義変更)

相続した不動産がある場合、被相続人名義から相続人名義に変更する登記手続きが必要です。

かつては相続登記に期限がありませんでしたが、2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記申請を行わなければならなくなりました。

正当な理由なく期限内に登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性がありますので注意が必要です。

登記手続きは法務局で行い、遺産分割協議書や戸籍謄本、固定資産評価証明書などの書類が必要となります。

手続きが複雑な場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。

 ③ 金融機関の口座解約・名義変更

被相続人名義の預貯金口座は、金融機関が相続の発生を知った時点で凍結されます。

凍結された口座を解約・名義変更するためには、金融機関所定の書類に加え、遺産分割協議書や戸籍謄本などを提出する必要があります。

金融機関によって必要書類や手続きの方法が異なるため、各金融機関に個別に確認することが重要です。

また、複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれに対して手続きを行う必要があります。

④ 相続放棄・限定承認の検討

財産よりも借金(負債)の方が多い場合、相続人は相続を放棄することができます。

相続放棄は「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」に家庭裁判所に申述する必要があります。

この期限を過ぎると原則として放棄できなくなりますので、早急な確認と判断が求められます。

また、財産と負債のどちらが多いか不明な場合には、「限定承認」という制度を利用することで、相続した財産の範囲内でのみ負債を引き継ぐことができます。

ただし、限定承認は相続人全員で申述する必要がある点に注意が必要です。

  1. 税務上の手続きと注意点

 ① 準確定申告

被相続人が亡くなった年に一定の所得(給与所得、事業所得、不動産所得など)があった場合、相続人は被相続人に代わって所得税の確定申告を行う義務があります。

これを「準確定申告」といい、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に申告・納税を行う必要があります。

準確定申告が必要かどうかは、被相続人の収入状況によって異なりますが、不動産オーナーであった場合などは特に注意が必要です。

  1. 相続後に発生する継続的な税務

不動産を相続した場合、翌年以降は固定資産税や都市計画税が相続人に課税されます。

また、賃貸不動産を引き継いだ場合には、賃料収入が発生するため、毎年の確定申告が必要になります。

相続をきっかけに新たな税務上の義務が生じることもありますので、事前に把握しておくことが大切です。

 おわりに

相続税の基礎控除額以下であっても、相続に関する手続きは多岐にわたります。

相続登記の義務化に代表されるように、手続きを怠ると思わぬペナルティが生じることもあります。

また、それぞれの手続きには期限が定められているものも多く、迅速な対応が求められます。

「相続税がかからないから大丈夫」と安易に判断せず、相続が発生したら早めに専門家(税理士・司法書士など)に相談されることをおすすめします。

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