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2026.06.25

 へそくりに相続税はかかるの?知っておきたい相続税法上の取り扱い

  はじめに

「へそくり」という言葉は、日本の家庭において昔からなじみ深いものです。

配偶者に内緒でこつこつと貯めたお金、あるいは家計費の余りをそっとためておいたお金——誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。

しかし、このへそくりが相続税の観点から非常に重要な問題をはらんでいることをご存じでしょうか。

「どうせ少額だから」「名義が自分になっているから大丈夫」などと思っていると、思わぬ課税リスクに直面することがあります。

今回は、へそくりの相続税法上の取り扱いについて、税理士の立場からわかりやすく解説します。

 

 そもそも「へそくり」とは何か

一般的にへそくりとは、家族(主に配偶者)に知られないよう密かに貯めておいたお金のことを指します。

たとえば、専業主婦(夫)が毎月の生活費から少しずつ節約して貯めたお金や、パート収入をこっそり積み立てたお金などが典型例です。

重要なのは、へそくりのお金の出どころ(原資)が誰のものかという点です。

この原資が相続税の課税に大きく影響します。

 

 相続税法上の問題点:名義預金という概念

へそくりを語るうえで欠かせないのが、「名義預金」という概念です。

名義預金とは、預金口座の名義人と実際にそのお金を管理・支配している人が異なる預金のことをいいます。

たとえば、夫が稼いだお金を妻名義の口座に移したとしても、その実態が夫による管理・支配であれば、名義は妻でも税務上は夫の財産とみなされることがあります。

 なぜ名義預金が問題になるのか

相続税法では、実質的な財産の帰属を重視します。

つまり、単に名義が誰であるかだけでなく、「誰がそのお金を自由に使える立場にあったか」「誰がそのお金を管理していたか」という経済的実態を見て、課税対象を判断します。

この原則に基づくと、専業主婦(夫)がへそくりとして貯めた預金であっても、その原資が夫(妻)の給与や事業所得であった場合、そのへそくりは夫(妻)の財産と判断される可能性があります。

その場合、夫(妻)が亡くなった際、そのへそくりは相続財産に含まれ、相続税の課税対象となるわけです。

 

具体的なケースで考える

 ケース①:専業主婦がへそくりを貯めていた場合

夫が会社員で、妻が専業主婦のご家庭を例に考えましょう。

妻は毎月の生活費から節約して、20年間で500万円のへそくりを妻名義の口座に貯めていました。

この場合、500万円の原資は夫の給与です。

妻が節約して貯めたとはいえ、もともとのお金の出所は夫の収入であるため、税務上は夫の財産(名義預金)とみなされる可能性が高いです。

夫が亡くなった場合、この500万円も相続財産として計上され、相続税の対象となりえます。

 ケース②:パート収入を自分名義で貯めていた場合

妻がパートで働いて得た収入を、自分名義の口座に貯めていた場合はどうでしょうか。

この場合、原資は妻自身の収入であるため、妻の固有財産として認められる可能性が高く、夫の相続財産には含まれないと考えられます。

ただし、実際には妻のパート収入がそのまま貯蓄に回るのではなく、生活費と混在しているケースも多く、どこまでが妻の固有財産かを明確に証明できるかどうかが重要なポイントとなります。

 ケース③:贈与として処理できるか

「夫から妻へのお金の移動を贈与として扱えばよいのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、毎月の生活費の余りをへそくりとして貯める場合、贈与契約書の作成や贈与税申告が行われていないことがほとんどです。

そのため、贈与として認められることは難しく、名義預金として扱われるリスクが高まります。

なお、正式な贈与として認められるためには、年間110万円の基礎控除を活用した暦年贈与を行い、必要に応じて贈与税の申告を行うことが有効です。

 

 税務調査でへそくりが発覚するケース

税務署は相続税の申告があった場合、被相続人(亡くなった方)だけでなく、その配偶者や家族の預金口座についても調査を行うことがあります。

具体的には以下のような方法で名義預金が発覚します。

1. 金融機関への照会:税務署は金融機関に対して口座情報の照会が可能です。申告漏れの口座が発見されることがあります。
2. 資金の流れの追跡:被相続人の口座から配偶者の口座へ定期的に送金があった場合、その流れを追跡されます。
3. 収入と貯蓄額の不整合:専業主婦(夫)で収入がないにもかかわらず、多額の預金残高がある場合、説明を求められることがあります

税務調査で名義預金と判断された場合、本来の相続税に加えて、過少申告加算税や延滞税が課されることもあるため、注意が必要です。

 

名義預金とみなされないために

へそくりや名義預金の問題を回避するためには、以下のような対策が有効です。

対策 内容
贈与契約書の作成 毎年の贈与について贈与契約書を作成し、記録を残す
贈与税の申告 年間110万円を超える贈与には贈与税の申告を行う
口座の管理を明確にする 贈与を受けた側が通帳・印鑑を管理し、自由に使える状態にする
収入の記録を保管する パート収入など固有の収入であることを証明できる書類を保管する
早めの専門家相談 相続が発生する前に税理士に相談し、財産状況を整理する

 

 まとめ

へそくりは一見、個人的なお金のやりくりに思えますが、相続税の観点からは非常に慎重に扱うべき問題です。

特に、専業主婦(夫)が家計費から貯めたへそくりは、名義預金として相続財産に含まれるリスクがあります。

大切なのは、財産の実態をきちんと把握し、正しい相続税申告を行うことです。

「名義が自分だから大丈夫」という思い込みは禁物です。

相続が発生した際に困らないよう、日頃から家族の財産状況を整理し、不安な点は早めに税理士にご相談ください。

 

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