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2026.11.04

相続税の修正申告・更正の請求の場合の延納申請について

 はじめに

相続税は、原則として「申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内)までに金銭で一括納付」することが求められます。

しかし、不動産が主な相続財産である場合など、一括納付が困難なケースも少なくありません。

そのような場合に利用できるのが延納制度です。

では、いったん申告した後に「修正申告」や「更正の請求」を行うことになった場合、延納の申請はどのように取り扱われるのでしょうか。

実務上、判断に迷うことの多い論点ですので、本コラムで整理してご説明します。

 1. 延納制度の基本

(1) 延納の要件

延納が認められるためには、次の要件をすべて満たす必要があります(相続税法第38条)。

1. 相続税額が10万円を超えること
2. 金銭で納付することを困難とする事由があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること
3. 延納申請書を提出し、担保を提供すること(延納税額が100万円以下で、延納期間が3年以下の場合は担保不要)
4. 申告期限までに延納申請書を提出すること

 (2) 延納期間と利子税

延納期間は、相続財産に占める不動産等の割合などに応じて、最長20年までとなります。

延納期間中は、年割額に対して利子税が課されます。

利子税の割合は、財務大臣が告示で毎年定めています。

 2. 修正申告に伴う延納申請

 (1) 修正申告とは

修正申告とは、当初の申告で納めた税額が少なかった場合などに、自ら申告内容を訂正して追加の税額を納付する手続きです。

たとえば、次のようなケースで必要になります。

– 申告漏れの財産が後から見つかった場合
– 土地の評価額の計算を誤っていた場合
– 税務調査で指摘を受けた場合

 (2) 修正申告で増加した税額の延納

修正申告により新たに納付すべき税額が生じた場合、その増加税額についても、一定の要件を満たせば延納を申請することができます。

ここで重要なのは、延納申請の期限です。

区分 延納申請書の提出期限
期限内申告に係る税額 申告期限(相続開始から10か月以内)
修正申告により増加した税額 修正申告書を提出した日まで

つまり、修正申告書を提出する際に、あわせて延納申請書を提出する必要があります。

修正申告書を提出した後では、延納申請はできません。

この点は特に注意が必要です。

(3) 延納が認められる範囲

修正申告による延納では、増加した税額のうち、金銭で納付することが困難な部分について延納が認められます。

この判断にあたっては、当初申告時の納付状況や、納税者の現在の資力が考慮されます。

また、修正申告のうち過少申告加算税、重加算税、延滞税などの附帯税は、延納の対象にはなりません。

これらは本税とは別に、金銭で納付しなければなりません。

 3. 更正の請求と延納申請

 (1) 更正の請求とは

更正の請求とは、すでに申告した内容について、税額を多く納めすぎていた場合などに、税務署に対して減額を求める手続きです。

たとえば、次のようなケースがあります。

– 未分割で申告した後に遺産分割が成立した
– 財産評価の誤りにより過大に申告していた

 (2) 更正の請求の期限

原則として、法定申告期限から5年以内に請求する必要があります。

ただし、遺産分割の成立や相続人の異動(認知・廃除他)などの後発的事由による場合は、その事由が生じた日の翌日から4か月以内に請求することになります。

 (3) 更正の請求における延納の考え方

更正の請求は、税額を減らすための手続きですので、請求自体について延納を申請することはありません。

しかし、次のような場面で延納が関係してきます。

① 更正により税額が減額されたが、残った税額の延納を希望する場合

当初申告時に延納の申請をしていなかった場合、更正によって減額された後の税額について、あらためて延納を申請することはできません。

延納申請は申告期限までに行うことが原則だからです。

② すでに延納許可を受けている場合の取扱い

当初申告で延納の許可を受けていた場合、更正により税額が減額されると、延納税額も減額されます。

この場合、延納の条件(年割額、担保など)が変更されることがあります。

税務署からの通知を確認し、必要に応じて手続きを行ってください。

 4. 実務上の注意点

 (1) 延納申請のタイミング

延納の申請は、修正申告書の提出日までに行うことが必須です。

修正申告の際に延納を希望する場合は、次のように準備を進めましょう。

1. 修正申告の内容と増加税額を確定する
2. 金銭納付が困難な理由を整理する(預貯金残高、収入状況など)
3. 担保となる財産を検討する
4. 延納申請書、担保提供関係書類を準備する
5. 修正申告書と同時に提出する

 (2) 担保の提供

延納税額が100万円を超える場合、または延納期間が3年を超える場合は、担保の提供が必要です。

担保として認められるものには、国債、地方債、土地、建物、有価証券、保証人の保証などがあります。

修正申告時には、当初申告で担保を提供していた場合でも、増加税額に見合う追加担保が必要になる可能性があります。

 (3) 附帯税の負担

修正申告に伴う過少申告加算税や延滞税は、延納の対象外です。

修正申告を行うタイミングが遅れるほど延滞税が増加するため、早めの対応が重要です。

 5. 具体例

ケース:当初申告で相続税1,000万円を納付した。

その後、申告漏れの有価証券が判明し、修正申告により追加で500万円の納付が必要になった。

– 追加税額500万円について、金銭での納付が困難な場合は、修正申告書提出日までに延納申請書を提出
– 追加税額が100万円を超えるため、担保の提供が必要
– 過少申告加算税(本税の10%程度)と延滞税は、別途金銭で納付する必要あり

この例では、延納を希望するのであれば、修正申告書を提出する前に延納の要件を確認し、担保の準備を済ませておく必要があります。

 まとめ

相続税の修正申告・更正の請求と延納申請の関係について、ポイントを整理します。

1. 修正申告で増加した税額は、修正申告書の提出日までに申請すれば延納が可能
2. 附帯税(加算税・延滞税)は延納の対象外であり、金銭での納付が必要
3. 延納申請には担保提供が必要(税額が100万円超または期間が3年超の場合)。
4. 修正申告後の延納申請はできないため、タイミングを逃さないことが重要

相続税の修正申告や更正の請求は、専門的な判断を要する場面が多く、手続きを誤ると予期せぬ不利益を被るおそれがあります。

延納の可否や担保の準備、附帯税の見込みなど、事前に確認しておきましょう。

 

 

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